【小児矯正】子供の反対咬合(受け口)の矯正治療はすべき?

      2024/01/13

結論:子供の反対咬合(受け口)は早めの治療がお勧め

『反対咬合(受け口)』の矯正治療は早めがお勧めです。なぜなら、前歯だけ反対であれば、生え変わりのときに正常な咬み合わせになる可能性がありますが、反対咬合(受け口)のままにしておくと上顎の成長抑制や口腔悪習癖などの原因に繋がるからです。

正常の咬み合わせは、咬み合わせたときに上の歯が前になり、下の歯が後ろにきます。反対咬合(受け口)とは、上下の咬み合わせが反対になっている歯並びのことを指します。咬み合わせが安定し確定するのは、乳歯列が完成する3歳前後です。その際、反対咬合(受け口)になっている場合は、早めに矯正治療の開始を検討しておきましょう。早めに改善しておくことで、より自然な成長を期待できたり、変な癖がつかないよう悪い方向への流れを止められます。

子供の反対咬合(受け口)の症状について

反対咬合(受け口)になるとどんな問題が出るかご存知でしょうか。「見た目の問題なら今矯正をしなくてもいいのでは?」と思う方はいらっしゃると思います。
しかし、反対咬合(受け口)の場合、下記の症状が出ることがあります。
・食事しにくい
・滑舌が悪い
舌を上手く動かせないために、食事のスピードが遅かったり丸呑みしていたり、硬いものを食べにくいから食べないなどの症状がみられます。
また、滑舌に影響するため、年齢が上がっても聞き取りにくい発音になりやすいです。周りの子が発音できている言葉を発音できない・しにくいなどの症状が出ると心配になってきますよね。症状によっては習慣や癖によることがありますが、歯並びや咬み合わせが関係することが多いです。その場合は、習慣や癖だけ改善するのではなく、原因を解決できるように矯正治療を行うと良いでしょう。

反対咬合(受け口)の原因とは

「家族が反対咬合だと子どもも反対咬合になる?」
「だんだん下顎がしゃくれてきた気がするけど、なんで?」
など、なぜ反対咬合(受け口)になるのか知らない方は多いと思います。反対咬合(受け口)になる原因として、下記の3つが挙げられます。
・両親からの遺伝
・舌や指しゃぶりなどの悪習癖
・下顎の発育過剰or上顎の発育不全
今、反対咬合(受け口)になっていなくても、3つのうちどれかの原因がありそうな方はよく経過観察をしましょう。
それでは、それぞれの原因について簡単に説明いたします。

両親からの遺伝

「顔が似ている」「背格好が同じ」など親子で似てくる部分があると思います。歯並びや骨格も同様です。親が反対咬合(受け口)だから子どもも反対咬合(受け口)になるわけではないです。ですが、親が骨格的な反対咬合の場合は、子どもが反対咬合になる確率は高くなります。
また、祖父母や叔父や叔母まで3親等の中に反対咬合(受け口)の方が多いと、同じような咬み合わせになりやすいです。遺伝が原因になると、今すぐの治療が良いのか成長が止まってからが良いのか悩むところです。子どもが反対咬合(受け口)かなと思ったときは、遺伝的な原因がありそうか確認してみてください。

舌や指しゃぶりなどの悪習慣

習慣的な癖で反対咬合(受け口)になる方もいます。歯は、口周りの筋肉や舌の力のバランスがとれたところに並びます。ですので、舌や指しゃぶりなどの癖が続くと、その癖が原因で歯は動きます。

低位舌

何もしていないときの舌の位置は、上顎にくっついているのが正常です。低位舌は、舌が下の前歯辺りに下がっている状態です。その場合、常に下の歯が舌に押されるため、上の歯よりも下の歯が拡がって反対咬合(受け口)になりやすいです。

舌突出癖

舌が前に出る癖を持っている方も低位舌と同じような力がかかります。舌突出癖は、食事や話をするときに舌を前に出す動きをします。この癖は、母乳や哺乳瓶で飲む飲み方で、赤ちゃんがよくする舌の動きです。指しゃぶりやおしゃぶり、哺乳瓶の使用が長い場合になりやすいです。舌の癖がある場合、歯並びにも影響が出ますが、滑舌や食べ方にも影響が出やすいです。滑舌が悪いお子さんや、食べるのが異常に早かったり遅いお子さんに多い舌癖です。

指しゃぶり

指しゃぶりによる舌癖が考えられますが、指の吸い方によっては下の歯に力がかかり、指で前歯を押すことで下の歯が前に出ることも考えられます。皆さんが思っている以上に普段の癖は歯並びに影響します。そのまま放っておくと悪化する原因になりますので気をつけましょう。早めに癖を取り除くことで歯並びが改善することがありますので、歯医者に相談されると良いです。

下顎の発育過剰 or 上顎の発育不全

上顎と下顎の成長バランスが悪く、反対咬合になる場合があります。
・下顎の発育過剰→下顎が大きく成長した場合
・上顎の発育不全→上顎の成長がうまくいかなかった場合
どちらも上下の顎の成長のバランスが悪くなって起こります。上顎の成長は平均で10~12歳くらい、下顎は13~16歳くらいといわれています。上下で発達時期が違いますので、時期をみて判断しましょう。

反対咬合(受け口)を放置するリスク

反対咬合(受け口)を放置すると、下記のような症状が出ることがあります。
・食事しにくい
・滑舌が悪くなる
・顎が痛くなる
食事の仕方・飲み込み方や滑舌は習慣になっている部分が大きく、大人になってからの改善が難しい場合があります。
また、何となく普段の生活を送っていたとしても、徐々に何かしらの症状が出てくることが多いです。顎の痛みは、子供のうちに出てくることはあまりないでしょう。大人になってから負担が大きくなり、顎関節症になる場合があります。このような症状を改善するためにも矯正治療が必要です。

子供のうちに反対咬合(受け口)の矯正治療するべき理由

「反対咬合の矯正治療は早い方がいいと聞くけど、大人になってからだと遅いですか?」と聞かれることがあります。
反対咬合(受け口)でも、症例によっては「大人になってからやりましょうか」と言われることがありますが、基本は早い方が良いとされています。
・抜歯を避けられる
・悪習癖を改善できる
・骨格を改善できる
など、早く矯正治療をするからできることがあります。小さいうちから矯正治療を始めると、子どもの負担が心配になる親御さんはいらっしゃると思います。なぜ子どものうちに治療するのが良いのか順にお伝えします。理由を知ったうえで矯正治療の時期を考えてみましょう。

抜歯を避けられる

反対咬合(受け口)の方の治療で多いのは、下の前から4番目の歯を抜いて治療する方針になりやすいです。永久歯列になっている場合は、もう成長がほとんど終わっていますので、拡げて治療をするよりも抜いて出ている下の歯を引っ込めることで上下のバランスを整えます。
しかし、子どものうちから矯正治療を始めておくことで、以下の治療が行えます。
・顎を拡げる
・顎の成長を抑制する
結果として、抜かなくても矯正治療が行えます。抜歯矯正が悪いわけではなく、抜いた方がきれいになる治療計画になることもあります。だからといって、健康な歯を抜くことに抵抗がある方が多いと思います。子どもから矯正治療を始めることで矯正治療の方法が増え、選択肢の幅が広がります。

悪習慣を改善できる

舌を含め、口周りの習慣を改善できる。舌の癖は特に歯並びに影響しやすいですし、歯並びの影響で舌の癖がつくことがあります。習慣や癖は、治したくてすぐ治せることではありません。今まで習慣や癖づいていたものを治さないといけないため、かなり根気がいりますし、大人になってからは改善が難しいです。まだ習慣や癖づいて日が浅い子どもの方が、改善しやすく治療が上手く進みやすくなります。

骨格を改善できる

1番大きなメリットは骨格にアプローチできることです。顎の成長は15歳くらいまでに終わるといわれています。それまでに骨を拡げる矯正治療を行うことで骨格的なバランスを整えることができます。
反対咬合(受け口)の方は、見た目にコンプレックスを抱いている方が多いです。骨格的にアプローチすることで、顔の見た目が変わります。顎が出ていたり引っ込んでいることで、特に横顔の印象は変わるでしょう。

反対咬合(受け口)の小児矯正治療方法

子どもの反対咬合(受け口)を治療する方法はいくつかあります。また、現状の歯並び・咬み合わせによって変わります。

口腔内装置

お口の中に入れる装置は種類があります。

悪習癖を改善するためのマウスピース型装置

取り外せるマウスピースを使用し、お口周りの筋肉や唇・舌のバランスを整えます。

顎を拡げるためのワイヤー装置

固定式のワイヤーを使って歯や顎を拡げます。

前歯の並びを治す表側のワイヤー装置

前歯の歯並び・咬み合わせの改善に使用します。

口腔外装置

お口の中の装置にプラスして使用します。「こんなの使えるの?」「これで寝られるの?」と言われることは多いですが、慣れてしまえば意外と使用できます。お子さんにとって邪魔になったり面倒になることはありますが、親御さんのサポートがあることで順調に治療が進みます。
これらの装置を必要に応じて使い分けます。検査・診断しないと分からないところがありますので、参考程度に考えていただくといいと思います。

小児矯正における反対咬合(受け口)の治療期間

「転勤があるから、治療期間が気になる」
「進学したら通いにくくなる」
など、矯正治療期間が気になりご相談いただくことがあります。
だいたいの治療期間は2~3年で、そのあと生え変わりを待つ期間や保定期間があります。お子さんの歯並び・咬み合わせや骨格によって治療期間は変わるため、一概に「何年で終わります」と断言できません。少なくとも2年はしっかり通えないと矯正治療の結果が上手く出ないことが多いです。
お子さんのイベントや親御さんの転勤など、歯医者に通えなくなるリスクが分かっているときはお伝えいただけると助かります。矯正治療を終えられそうか、どのくらいまでならできそうかをお話しできます。

反対咬合(受け口)の小児矯正治療費用相場と保険適用について

矯正費用は、自費治療になることがほとんどですので、歯医者によって金額が変わります。
小児矯正(1期治療)の費用は、200,000~400,000円くらいが相場です。歯医者によっては検査費・調整費や装置に応じて費用が追加でかかる場合がありますので確認しておきましょう。
・どこまでを小児矯正(1期治療)として行うのか
・追加の費用がかかるのか
・1期治療終了後し2期治療へ移行するときの費用
このあたりは歯医者によって変わります。事前に聞いておくことでトータル費用の見通しが立てやすいです。いくつかの歯医者を比べるときに比較ポイントになると思います。

矯正治療は、自費治療になることがほとんどですが、保険適用になる場合もあります。
・「顎変形症」と診断され、外科手術が必要な矯正治療
・口唇口蓋裂やダウン症など厚生労働大臣が定める疾患が原因の矯正治療
・永久歯の前歯や小臼歯が3歯以上生えず、埋伏歯開窓術が必要な矯正治療
この場合は矯正治療を保険適用で行えます。
保険適用の矯正治療は、どこの歯医者でもできるわけではありません。厚生労働大臣が定める施設基準に適合していると地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみです。

反対咬合(受け口)は「顎変形症」と診断され、外科手術が必要な矯正治療と診断されることがあります。この場合は、矯正治療の時期が大きく変わり、治療内容によっては小児矯正をしない場合があります。「子どものうちにしてあげたい」と思っている親御さんは多いと思います。ですが、適切な治療をし、お子さんの歯並び・咬み合わせがきちんと治る方法を選択しましょう。この保険適用の矯正治療については、実際に相談・診察してもらうときに聞いてみるといいかもしれません。

まとめ

反対咬合(受け口)のお子さんの治療は早めにやること下記のメリットがあります。
・抜歯矯正を避けられる
・悪習癖の改善ができる
・骨格の改善ができる
早めに治療を開始することで、大人になってからの矯正治療では改善が難しい部分も治せます。お子さんの現状の歯並び・咬み合わせによって矯正治療の開始時期は変わります。お子さんの成長度合いによりますので、定期的に歯並び・咬み合わせを診てもらうと安心です。
反対咬合(受け口)は、下顎の成長が止まるまで咬み合わせが変わりやすいです。だからといって、成長が止まるまで何もできないわけではありません。少しでも咬み合わせが良くなるように矯正治療を早めすることをお勧めいたします。



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