急速拡大装置を使用した小児矯正|メリット・デメリットについて
2024/01/13
皆さん「急速拡大装置」をご存知でしょうか?
急速拡大装置は、上顎の横幅を拡げるために使用する固定式の矯正装置です。「急速」とついているように短期間で一気に拡げていくのが特徴です。
第1大臼歯(6歳臼歯)と第1小臼歯(前から4番目の歯)にバンドをつけ、真ん中にある拡大ネジを回して拡げる矯正装置です。急速拡大装置は、歯を動かす矯正装置ではなく、上顎の骨を拡げて上顎の横幅を拡げます。
上顎は、左右の上顎の骨がくっついて1つになっています。真ん中に正中口蓋縫合というつなぎ目の線があります。この上顎の繋ぎ目で拡げることで骨と骨を離し、上顎を拡げます。拡がった後は自然に新しく骨ができて上顎が繋がるのを待ちます。急速拡大装置は、上顎が狭い方や交叉咬合の方に使用する矯正装置です。患者さんの歯並び・咬み合わせに合わせて急速拡大装置を使用することで、とても良い矯正治療ができます。
急速拡大装置の対象年齢
上顎の正中口蓋縫合(せいちゅうこうがいほうごう)がくっつく時期が10歳前後で、顎の成長が終わる時期が15歳前後だといわれています。ですので、10~15歳までに行うと成長時期に合わせて自然に上顎を拡げることができて理想的です。
しかし、大人の矯正治療でも使用する装置です。骨を拡げる矯正装置ですので、骨の状態や年齢によっては使用を避けることがあります。「この年齢まで」と矯正装置の対象年齢があるわけではないですが、30歳くらいを境に使用しない選択をすることが多いです。患者さんの歯並び・咬み合わせ、急速拡大装置のメリット・デメリットをお話しさせていただいたうえで治療を行います。
急速拡大装置のメリット
後戻りが少ない
顎を拡げて矯正しますので、後戻りが起こることはほとんどありません。
抜歯矯正をしなくてすむ可能性が出てくる
急速拡大装置は、顎を拡げることでスペースをつくり、歯を並べます。上下の顎のアンバランスを改善するため、顎の歯を抜かなくても矯正治療を行うことができます。
鼻腔が拡がり鼻通りが良くなる
上顎を拡げることで鼻腔も拡がるため、鼻呼吸しやすくなります。口呼吸から鼻呼吸への改善ができます。
急速拡大装置のデメリット
痛みが伴う
骨を拡げますので、それなりに痛みが出ます。装置を装着してから3~4日は特に痛みや違和感が出やすくなります。また、装置の違和感が大きいため、発音しづらくなることもあります。慣れるまで多少我慢が必要でしょう。
顔貌が変わる
上顎を広げるため、目の間隔や鼻周りの見た目が変化しますので、矯正治療する前によく話し合い確認しておきましょう。
急速拡大装置の使用期間
急速拡大装置は「急速」とあるように短期間で顎を拡げます。期間は2~3週間くらいです。拡げた後にすぐ装置を外してしまうと後戻りを起こしますので、顎の骨がしっかりくっつくまでの間は装置をつけたままにします。急速拡大装置をつける期間は、6ヶ月~1年くらいだと考えておきましょう。
急速拡大装置の使用上の注意
急速拡大装置の使用に注意がいくつかあります。
急速拡大装置は上顎に大きい装置がつきます。装置と上顎の間には隙間ができ、食べ物が詰まりやすいため口腔管理をしっかりしていかないといけません。ものが詰まることで歯肉炎になると痛みが出ることがあります。装置に合わせて歯磨きの仕方を歯医者で教えてもらい、実践しましょう。上顎を拡げることで上の前歯に隙間ができることがあります。しかし、失敗ではなく矯正治療の途中経過ですのでご安心ください。
まとめ
急速拡大装置は、上顎を拡げていくための矯正装置です。
・後戻りしにくさ
・矯正期間の短さ
・歯を抜かない矯正治療ができる
・鼻腔が拡がり、鼻呼吸しやすくなる
などたくさんメリットがあります。
デメリットは、短期間で顎を拡げるため、装置の違和感や痛みが出やすいです。矯正期間中、柔らかい食事に替えたり痛み止めを飲んだりして過ごすようになるかもしれません。
また、顎を拡げるため顔貌に変化が出ます。顎を6mm以上拡げますので、顔が大きくなったように感じるかもしれません。顔が大きくなり不自然に見えないよう矯正治療を行いますが、矯正前の方が良かったとならないように矯正治療を進める必要があります。メリットやデメリットがあり、よく理解したうえで急速拡大装置での矯正治療をしましょう。
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