子どもの歯並矯正装置の種類|1期治療・2期治療の小児矯正

      2024/01/13

1期治療・2期治療の小児矯正について

お子さんの矯正治療には「1期治療」と「2期治療」の2段階あるのはご存知でしょうか?お子さんの歯並びや矯正を始める時期によって治療の仕方が変わります。
1期治療は、お子さんの骨の成長を利用する治療です。上下の顎のバランスを整えるように矯正を行い、咬み合わせを安定させます。歯がきれいに並ぶ土台をつくるのが1期治療だと思ってください。
お子さんの歯並びの状況や歯の生え変わりの時期によって、矯正治療を開始する年齢は変わります。早いお子さんですと4歳くらいから矯正治療を始めることもあります。一概に「何歳から矯正治療を始めるといい」とは決まっていません。成長には個人差があり、お子さんの協力度も考えながら開始する時期を決めます。
2期治療は、生え揃っている歯をきれいな歯並びになるように動かす治療です。永久歯が全て生え揃ってから始める治療で、大人の矯正治療と同じ治療方法です。1期治療で土台を整え、2期治療で歯を並べる流れです。
2期治療は、前から7番目の歯(12歳臼歯)が生え揃う中学生頃から開始します。1期治療で土台づくりをしていると2期治療の期間がスムーズに進むため、2期治療が短期間で終わることが多いです。また、1期治療を行うことで歯を抜いたり削らなくても矯正治療を行うことができます。

小児矯正は1期治療~2期治療まであり、トータルの矯正治療期間は2期治療(大人の矯正治療)だけ行うよりも長いです。しかし、治療方法や使用する装置など「子どもだからできる」選択肢が増えます。小児矯正を開始する時期はお子さんによって変わります。歯並びが気になったときに、歯医者に相談することをお勧めします。

小児矯正(1期治療)で使用する装置の種類

小児矯正で使用する装置には、たくさんの種類があります。お子さんの咬み合わせや歯並びの状況に応じて使い分けます。1つだけ使うこともあれば、いくつかの装置を組み合わせることもあります。
小児矯正で使用する矯正装置は3種類あります。
・可撤式(かてつしき)矯正装置
・固定式矯正装置
・顎外固定装置
大人の矯正装置は何となく分かる方は多いと思いますが、小児の矯正装置は知らない方も多いと思います。それぞれどんな装置なのか、特徴をお話しします。

可撤式矯正装置

可撤式(かてつしき)矯正装置とは、プレートタイプやマウスピースタイプなど取り外しのできる矯正装置を指します。可撤式矯正装置の良いところは、装置を取り外せるため食事や歯磨きを今までと同じように行えます。そのため、矯正装置が入っても虫歯のリスクが高くなることはないでしょう。
可撤式矯正装置の難しいところは、お子さんと親御さんの協力がとても重要になることです。矯正装置を使わないと歯並びは治りませんし、矯正装置の管理ができないと壊れたり失くすことも考えられます。
お子さんの負担を考えると、取り外せるメリットは大きいと思います。お子さんの性格や親御さんの手間を考えながら選択してみてください。

固定式矯正装置

固定式矯正装置とは、歯に矯正器具をつけてしまい、お家では取り外せない矯正装置です。歯医者で専用の器具を使って取り外します。矯正装置を入れたときは、多少違和感があるでしょう。しかし、だんだんお口の中に矯正装置が入っていても違和感がなくなってきますので、ご安心ください。可撤式矯正装置と違い、歯に固定をしていますので「矯正装置が使えなくて治らない」ということはないです。
デメリットは、矯正装置の不具合があっても取り外せないため、その都度歯医者に来院していただくことになります。また、食べ物が挟まりやすくなったり歯磨きがしにくくなります。虫歯にならないように気をつける必要があります。

顎外固定装置

顎外固定装置は、お口の外につける矯正装置です。1日12時間以上の使用を目標に、お家にいる時間や夜間寝ている間に使用します。お口の外に矯正装置がついたまま寝ていただきます。慣れるまでの違和感や夏場の汗・蒸れなどの対策など、いろいろな問題が出すい矯正装置です。親御さんにはお子さんのモチベーションや装置の着脱などサポートをお願いいたします。

小児矯正(1期治療)で使用する可撤式矯正装置

可撤式矯正装置といってもたくさん種類があります。歯を動かす装置がありますが、機能的矯正装置といって上下の顎のバランスを整えるように成長を促す矯正装置もあります。それぞれの特徴を説明します。

拡大床

拡大床は、歯列を拡げるための矯正装置です。歯が並ぶスペースが足りない歯列の方に使用します。床と呼ばれるプレートの真ん中にネジが埋め込まれています。そのネジを1~2週間に1回まわし、プレートを拡げます。

バイオネーター

バイオネーターは上下がくっついている床矯正装置です。機能的矯正装置ともいわれ、歯を動かすのではなく筋肉の動きを利用することで下顎の成長を促す矯正装置です。下顎の成長が小さく上下のバランスが悪い場合に、下顎が成長をする6~13歳くらいで使用します。

リップバンパー

下唇の力が強い方や噛んでいる方は、下の前歯が内側に倒れてきます。下の歯と下唇の間にリップバンパーを入れて下の歯に必要以上の力がかからないようにします。

ツインブロック

ツインブロックは、上下に分かれている床矯正装置です。機能的矯正装置の1つで、ツインブロックを入れて咬み合わせると下顎が前にズレる傾斜がついています。バイオネーターと同じような効果が期待され、上下のバランスを整えるための矯正装置です。

ムーシールド

ムーシールドは受け口に使用するマウスピース型の矯正装置です。3歳から使用することができ、早期治療が可能です。上顎を前に、下顎を後ろに下げる咬合誘導を行います。また、お口周りの筋肉や舌の癖も整える矯正装置です。

F.K.O(アクチバトール)

F.K.O(エフカーオー)は、上下がくっついている矯正装置です。機能的矯正装置で、上下の顎のアンバランスを筋肉の働きを利用して整え成長を促す効果があります。

マウスピース矯正「インビザラインファースト」

「インビザライン」というカスタムメイド型のマウスピースの矯正装置を使用した治療方法です。インビザラインファーストは、乳歯と永久歯が混在している混合歯列期の治療で使用できます。とにかく見た目が目立たない矯正装置です。ワイヤーがないため、スポーツの制限もありません。いろいろな歯並び・咬み合わせに対応している矯正装置ですので、極端に難しい症例ではない限りどの患者さんでも選択できます。

トレーナーマウスピース

お口周りの筋肉のバランスや舌の癖によって、歯並び・咬み合わせに影響していることがあります。その筋肉のバランスを整え、舌の正しい使い方を習得することで歯並び・咬み合わせを良くしていくのが、トレーナーと呼ばれるマウスピースです。この矯正装置は、使用するだけではなく舌の使い方や呼吸の仕方などのトレーニングを合わせて行います。

小児矯正(1期治療)で使用する固定式矯正装置

固定式矯正装置は、お口の中に固定してしまうため自分では取り外しができません。ワイヤーの力で歯や顎全体を拡げる力をかけます。可撤式矯正装置に比べると痛みを感じやすくなります。

クワドヘリックス

クワドヘリックスは、ワイヤーのバネの力を利用して歯列の横幅を拡げる矯正装置です。歯の裏側にワイヤーがくるため、気になって舌で触っていると舌が痛くなることがあります。

GMD・ペンデュラム・クワドヘリックス

GMD・ペンギュラムは、6歳臼歯(第1歳臼歯)を後ろに移動させる矯正装置です。歯を傾斜させず後ろに移動できます。移動した後は、装置を変更して手前の歯も順番に後ろに移動します。この矯正治療を行うことで、抜歯矯正を回避できることが多いです。

急速拡大装置

急速拡大装置は、歯列の横幅を拡大する力をかける矯正装置です。プレートタイプの拡大床は徐々に拡げるのに対し、この矯正装置は「急速」とついているように短期間で大きく拡げます。
上顎は、右と左の2枚の骨がくっついてできています。急速に拡大することで2枚の骨を離し顎を拡げ、その隙間に新しい骨がつくられることで顎を大きくします。拡大する期間は短いですが、骨ができるまで固定しておかないといけないため、装置は数ヶ月~1年くらい入れたままになります。

リンガルアーチ

リンガルアーチは、前歯を押す力をかけることができる矯正装置です。歯列の大きさを保つためにも使用することがあります。

タングガード

タングガードと名前にあるように、舌をガードする矯正装置です。舌の癖があり、飲み込みや喋るときに舌が前に出てしまい、前歯の咬み合わせが開いて開口と呼ばれる咬み合わせになります。開口の方によく使用する装置で、上の前歯の後ろあたりに舌が前に出ないように柵や突起がつけてあります。

2×4(ツーバイフォー)や2×6(ツーバイシックス)

前歯のみに大人の矯正治療で使用するブラケットを張り、前歯のガタガタやすきっ歯・前歯を前後に動かしたいときに使用する矯正装置です。歯を1本1本動かせるため、捻じれている歯や傾きなどの調整が行えます。

小児矯正(1期治療)で使用する顎外固定装置

上下の顎のアンバランスが原因で咬み合わせが悪い場合は、バランスが良くなるように矯正治療を行います。お口の外(頭や首など)に固定を置き、顎の成長抑制や促進・歯を動かす力をかけます。

上顎前方牽引装置

おでこと顎に固定を置いたフェイスマスクのフックと口腔内の装置についているフックにゴムをかけることで、上顎を前に引っ張る力がかかる矯正装置です。

チンキャップ

受け口の方に使用する矯正装置です。下顎が前に出ないように成長の抑制を行います。この矯正装置単体で使うことはあまりなく、上顎にリンガルアーチを入れて使用しチンキャップと併用します。これにより上は前へ、下は後ろへ力をかけて咬み合わせを改善します。

ヘッドギア

ヘッドギアは、子どもの成長期に使用することで上顎の成長抑制を期待する矯正装置です。また、上顎の奥歯を後ろに動かすこともできます。

小児矯正(2期治療)で使用する矯正装置

2期治療は、大人の矯正治療と同じ治療です。1期治療で土台の矯正治療を行い、2期治療ではワイヤーかマウスピースの矯正で仕上げを行います。

ワイヤー矯正(表側矯正)

歯の表側にブラケットと呼ばれる矯正装置をつけ、ワイヤーの力で歯を1本1本動かして歯並びをきれいにします。

ワイヤー矯正(裏側矯正)

歯の裏側に矯正装置をつけて治療を行います。矯正装置が見えないため、見た目が気にならない矯正装置です。歯の裏側に矯正装置がついているため、舌に当たりやすくなるのがデメリットです。

マウスピース矯正

マウスピースを1~2週間に1回交換することで、歯を少しずつ動かして歯並びをきれいにします。ワイヤー矯正に比べて痛みが少なく、見た目は矯正していると分からない矯正装置です。自己管理が必要ですが、マウスピースの着脱や管理が難しいわけではありませんので安心してお使いいただけます。

まとめ

小児矯正には、たくさん種類があります。「絶対にこれがお勧め!」という治療方法はありません。
顎を拡げたり成長を促してバランスを整える矯正治療は、成長期の時期に行うからこそ効果が出やすいです。小児矯正は、大人の矯正治療では使えない矯正装置があり、治療の選択肢が増え、さまざまな可能性があるのがメリットです。
歯医者によって使用する矯正装置は変わりますし、お子さんによって向き不向きがあります。たくさんある矯正装置の中でお子さんに合わせて矯正装置を選択していくことが、スムーズに治療を進めるための1つのポイントです。
まずは、お子さんの歯並び・咬み合わせの現状と、どんな治療方法になりそうなのか知ることが大切です。ぜひ歯医者に相談してみてください。

 



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